前回の記事では、気密測定(C値測定)の基本的な流れをご紹介しました。
今回は実際の測定現場で「どんな部分が気密に影響するのか?」や「職人さんたちの工夫」など、もう一歩踏み込んだ内容をお届けします。
■ 気密測定でよく見つかる “空気のもれ道” を解説
気密測定では、家のどこから空気が漏れているのかをチェックします。(隙間風/漏気)
実際の現場で「よく見つかるポイント」を、できるだけ分かりやすくまとめました。
● コンセント・スイッチ周り
家の壁の中には配線が通っているため、コンセントまわりは小さな隙間が生まれやすい場所です。
この隙間がそのままだと、外の空気がスーッと入ってくることも。
専用の気密パッキンや気密ボックスでしっかり塞ぐこと。
小さな部分ですが、気密を左右する大事なポイントです。
● サッシ(窓枠)まわり
家の中で “最も外に近い部分” のひとつが窓。
取り付けの時に行うテープ処理やウレタンの充填が丁寧かどうかで、気密性能が大きく変わります。
「窓の周りをどれだけ丁寧に仕上げているか」で気密の良し悪しが分かる、といっても過言ではありません。
● 配管が家の壁を突き抜けている部分
エアコン・換気扇・トイレ・キッチン…
配管やダクトが外へ出ていく場所は、どうしても穴を開ける必要があります。
この“貫通部”の隙間がほんの少しあるだけで、C値(隙間の量)に大きく影響します。
気密測定でも、ここは重点的に確認します。
●屋根裏や床下など、普段は見えない場所
実は、気密の差が一番出やすいのがこうした「見えない空間」です。
小さな穴やすき間が残っていると、そこから空気が流れ込んでしまいます。
住む人には見えない場所だからこそ、 施工する側の“丁寧さ”や“こだわり”が表れる部分 です。
■ 現場での改善の様子
測定時に漏気ポイントが見つかった場合は、現場で即修正を行います。
- テープの再施工
- ウレタンフォームで隙間を充填
- パッキンの増し貼り
- 貫通部周りの再チェック
この作業を行うことで、測定前後でC値が改善することも珍しくありません。
「どこにどれだけ空気が逃げているか」を可視化することで、建物の品質は確実に向上します。
■ 気密測定は“施工品質の見える化”
図面上では完璧でも、実際の施工ではほんのわずかな差で気密性能が変わります。
だからこそ、気密測定は「建てた後で確認するもの」ではなく、
“より良い家をつくるためのプロセス”として欠かせない工程です。

より良い家をつくるためのプロセス
数値が出ることで、施工者も施主様も
「この家がどのくらい丁寧につくられているのか」
を客観的に把握できるのが大きなメリットです。
■ 測定後は“改善ポイント”も含めて丁寧にご説明します
当社では気密測定後、
- C値の数値
- 建物の気密レベル
- 改善した箇所の説明
- 今後の住まいにどう影響するか
などを分かりやすく解説した報告書をお渡ししています。
■ 最後に
「家は、完成したら見えなくなる部分こそ大切」
これは私たちが気密測定を行う理由であり、家づくりでずっと大切にしている考え方です。
断熱材も、配管も、壁の向こう側の処理も、住んでからはほとんど見えません。
でも、そこに手を抜かず、丁寧に施工し、その品質を測定で“見える形”にする。
その積み重ねこそが、10年先・20年先の快適さにつながる
と私たちは信じています。
気密測定や住宅性能について気になることがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。





